遺言(ゆいごん、いごん、いげん)とは、日常用語としては形式や内容にかかわらず広く故人が自らの死後のために遺した言葉や文章をいいます。日常用語としてはゆいごんと読まれることが多い。このうち民法上の法制度における遺言は、死後の法律関係を定めるための最終意思の表示をいい、法律上の効力を持たせるためには、民法に定める方式に従わなければならないとされています。法律用語としてはいごんと読まれることが多い。
相続とは被相続人の財産を承継することですから、被相続人自身が自ら築いた財産の行方については、被相続人自身が決めることができます。また、それを尊重するのは当然のことです。
遺言とは、被相続人が亡くなる前に、その最終の意思表示を形にし、死後に実現を図るものです。また、その人が事業家である場合には、その承継をスムースに行うためにも、遺言しておくことが必要です。
遺言がない場合、民法が相続人の相続分を定めていますので、これに従って遺産を分けることになります。つまり、死人に口なしということで、せっかくの遺言が無効とならないためにも、法律で定められた方式に基づいたものにしましょう。
世間ではよく、相続問題で親族同士が骨肉の争いをしていることを耳にしますが、そのような遺産争いを未然に防ぐためにも、遺言をしておくことは大切なのです。
また遺言は人の死後に効力が生じるものであるため、一定の厳格な方式に従わなければなりません。
遺言書の種類
遺言書はまず2通りに分けられます。
- 普通方式・・・日常生活の中で遺言をする場合(3種類)
- 特別方式・・・普通方式で不可能な状況での遺言をする場合(2種類)
普通方式
- 自筆証書遺言
- 遺言者が遺言書の本文、日付および氏名を自分で書き、押印するもの
- 公正証書遺言
- 遺言者が遺言の内容を公証人に伝え、公証人がこれを筆記し、公正証書を作成するもの
- 秘密証書遺言
- 遺言者が遺言内容を秘密にして上で、遺言書を作成し、封印をした遺言証書の存在を明らかにすることを目的としたもの
特別方式
- 死亡危急者遺言
- 疾病、その他の理由で死亡の危機に迫ったものが行う遺言
- 伝染病隔離者遺言
- 伝染病のため、行政処分によって交通を絶たれた場合にある者がする遺言
- 在船者遺言
- 船舶の中にいるものがする遺言
- 船舶避難者遺言
- 船の遭難の場合において、船舶中で死亡の危機に迫った者がする遺言
遺言書のメリット・デメリット
普通、遺言書と言われるものは
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
の二つである。
- 自筆証書遺言
- メリット:特段の費用が必要なく、自分で書くもの デメリット:民法上または、判例法理を通じて、厳格な要件をクリアしたものでないと、認められない。
- 公正証書遺言
- メリット:遺言者が証人2名とともに、公証人に遺言を伝え、公証人が書いたものなので、法的効力が強い
デメリット:遺言者が証人2名とともに、公証人役場に赴き、公証人とのやり取りを行う必要がある。
依頼する士業の方、公証人役場への手数料の支払い等が発生する。
変更時は、同様のことを行い、費用も発生する。
遺言書の法的効力を発揮するためにも、
「公正証書遺言」を作成することが望ましい